『この世の行いは二つに分けられる、即ち赦されるものと赦されざるものに』朝夕香る金木犀が心地よい今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。わたしのお仕事は相変わらずレッドゾーンでお絵描きにも集中できない今日この頃です。
「ほらぁ!またこのパターン繰り返し!きっとこいつが"ロゼッタストーン"なのだわ!」
わたしが社内のドリンクバーでエスプレッソを口にしながら、この秋始まったアニメ"ヨスガノソラ"の事(ああ、最近のアニメってEDが二曲もあったり、30分がA/BパートジャなくてA/B/Cパートだったり構成もいろいろなんだ!とか穹可愛いなーとか)を妄想していると、管理部の同僚がPCを手にして割り込んできた。ここ数週間進捗に大幅に影響しているシステムパフォーマンスの問題と併発する品質課題についてアタマを抱えていたわたしは、藁にもすがる思いで統計とデータ解析にめっぽう強いよ!と評判である管理部の同僚にここ数ヶ月の日報データを送りつけていたのだった。
システムに携わる作業者上から下まであわせると結構な人数で、レポート内容のデータ項目も多岐にわたる。羅列された数字を並べるとそれはさながらロゼッタストーンのように見えるのかもしれない。
「…あーそうね」
「あれ?ロゼッタストーン通じない?」
ロゼッタストーンといえば確かナポレオンがエジプト遠征を行った折、海岸地方の要塞を強化するため補修工事を行った際ロゼッタ村から出土した石碑で、今は大英博物館にある。あれ、なんでナポレオンなのにイギリスにあるんだろう…そうか、イギリスがエジプト上陸した際に持ち帰ったのか。アレクサンドリアの戦いだったっけ?
「…そうそう、フランスでは"カノープスの戦い"っていうんだよねっ!いやあ屈辱的だよねえ」
「は、はぁ?意味わかんないんだけど。てゆーか、ヒエログリフの解読とか知んないわけ?ありえないんですが」
ロゼッタストーンには碑文として古代エジプト・プトレマイオス朝のプトレマイオス5世について書かれており、同じ文章がヒエログリフ、デモティック、ギリシア文字でそれぞれ書かれていた。当時謎の文字だったヒエログリフはこの碑文をヒントにシャンポリオンとかいう研究者によって解読されることになる。20歳で10以上の言語を習得していたとかいう非凡な語学者だったらしい。ロゼッタストーンの碑文がヒエログリフの解読に際して決定的なアイディアをもたらしたとかで、以来問題を解決するための"鍵"を含むデータ集合をロゼッタストーンと呼ぶことがあるとか。データ解析の結果システムソフトの構造とプロジェクト体制の割り方に改善のヒントがあるという知啓を得るのだけれど、その後たっぷり30分ほど、古代エジプト学について延々とご高説を承ることに。暗号屋の後輩とかこの人とか、ウチにはこんなんしかいないんですか…。
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(note)『消失十字軍』より、ハイロン。通り名"革命する群青"は彼女の能力、青く燃える炎"ゲヘナの火"より。
"ゲヘナの火"とは、古代エルサレムの南の端にあったヒンノムの谷を意味するゲーヒンノームを語源としているといわれる。紀元前、ヒンノムの深くて狭い谷底ではゴミを処分するために絶えることなく硫黄の炎がともされており、ゴミばかりでなく咎人や異教徒の亡骸もそこで処分され、辺りはさながら地獄のような光景が広がっていたとか。さらに時代を遡るとそこには異教徒たち(モレク神でしたか?)の神殿があり、人身御供の供犠が行われ人が焼き尽くす捧げ物とされていたらしい。
死んだ後さらに燃やし尽くされるということから"二つめの死"をもたらすとかいわれたいますが、どんな能力なんでしょうね。