Permanent secret agencies

あるいは永久秘匿機関。

ルーアッハ、プシュケー、スピリトゥス・・・古代より人々はあまねく世界に存在する無機質な物、物質を生命たらしめている根源的なものの存在について様々な議論を重ねてきた。土塊を人の形にこねて神が息を吹きかけるとそこに生命が宿るという神話のように、肉体とは別の付与的な”生きる力”の存在について。

原始、自然の中で生活した人々が、松明に火を灯すことでただの木片が光や熱を発しながら燃えさかる、あるいは雨水の流れが山を崩したり、竜巻が木々をなぎ倒す様を目の当たりにし、火や水や風といった万物に作用する根源的な”力”の存在を身近に感じるであろうことは想像に難くない。だが、燃やしたり水に曝したりしても物が生命のようにふるまうことはなかったので、生命を駆動する”力”を霊力とし区別してこれを自らを構築し続ける回転力と位置付けた。
霊力ははじめから世界に満ち、混沌とした万物をある秩序のもとにゆっくりとだが確実に構築構成、長い長い年月をかけて高等な秩序回路をもった進化の破壊&構築サイクルを組み上げたのだと考えるようになり、この霊性を”神”として認識するに至る。神の秩序は律法とされた。神の律法に帰依し卓越したものは生命の力を活性化したり物質に命御与えたりもするが、生命の灯を消し去ることにも通じる。

一方、この世界にはこうした秩序に反して、全く関連性のない事象の間に因果の関係性が存在していることが発見されている。例えば、ある図形を虚空に描き、決まった文言を唱えると虚空より雷撃がほとばしる。これらの(まるで隠しコマンドのような)因果は稀有な偶然と気の遠くなるような試行錯誤の果てに集いし古代の賢者たちによって少しづつ蓄積され、やがて知の探索者結社によって結実し秘匿される。この一見でたらめな因果の法則は霊性な神の律法の対極に位置するものとされ、中世欧州においては”魔法”とも呼ばれた。

探索者結社による研究によれば、この世界は生命誕生ののち過去幾度にもわたり霊性(神)によってリセットされており、そのたびに生命の再設計が繰り返されているという。また、古の石版(立体格子状記録媒体)によりこうした世界再創造を越えて転生を繰り返す上位の存在も示唆されるなかで、今世千年を生きる少女はリアルなチート”魔法”を駆使し、神の律法と対峙して現世のリセットを食い止めることができるか…という妄想。

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