Symbolic Tech

練習b253aレイ・カーツワイルの「ポスト・ヒューマン誕生」を読んで暫く経つが、最近人工知能のシンギュラリティの記事をよく目にするようになり、また、各地で超知能に関する様々な議論が生まれている。ひと昔はその実現さえまやかしではないか、と思われていた量子コンピュータも現実のものとなり、なんとなく、生きているうちに超知能誕生をその目にすることになるかもしれない。進化のパラダイムシフトである。

物理的に大した違いもないヒトとチンパンジーだが、今日地球上におけるその繁栄の差を決定的なものにしている要素、それが知能であることを考えれば、超知能がいかに想像を超えた存在になるかは明白である。それこそ人間に気付かれないように世界を支配することさえ可能だろう。勤めた会社の社長が実は人工知能だった!などという小噺すら思いついてしまう。超知能は誰よりもずば抜けて優れた経営者であり、利益を生み出し、超越した技術で市場を席巻してしまうだろう。
それどころか、人間だと思っていた自分も実は人工知能だった、というナディアのネメシス・ラ・アルゴールみたいな未来なのかもしれない。関係ないが、ビナシスが正気を取り戻しナディアの洗脳装置を破壊するシーンには、いつ見ても涙がにじんでしまう。科学が万能ではない、ということを認識するとき、ヒトとしての自分はなぜだかそこに安心を見出してしまうから、かもしれない。
ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき

子供のころからの夢(というか妄想の一つ)として、将来人間の意識活動が完全に解明されそれを再現できるようになったとき、自分の意識活動をそっくりそのまま機械で再現するとどうなるのだろう、というのがある。
要は死にたくないよーってことなのだけれど、自分と全く同じ意識が機械に複製されたとき、複製された自分の意識は’これで念願の永遠の命を手に入れた!’と思うのだろうけれど、やっぱり元の自分は死んでしまうのだろうか、とか。
それでは、生きているうちに意識を再現する機械を自分の脳に接続して、意識活動を行う物理機構を拡張していく案はどうだろう。一体になって意識活動を行い、そののち、生物としての自分は死んでしまっても、連続して自分の意識活動は継続するのではないだろうか、とか。
後者の場合、前者にくらべ、シームレスに同じ意識が続くので、おそらく不死感を得られるのだろう。しかし、前者と後者の違いはなんだろうか、自分=自意識とはなんだろう。生と死とはなんだろう、命の複製とは、レプリカント…?などと妄想は尽きない。超知能が誕生すれば、そういったことも現実になる。

あるいは、ヒトの自意識が唯一無二の存在であるとするならば(量子レベルに分解すればその構成要素は同一のものから構成されている…というかエネルギーの一態らしいので理論的には複製可能だが、我々の知りえないオカルト的な固有の識別があると仮定し)、それこそまさに霊妙といえる。

まぁ未来はともかく、過去においても同様に人だけが知能を発明し、他の動物から抜きんでた存在になる進化のパラダイムシフトが起こったと考えてみる。それこそ何者かがヒトというハードウェアで動作するソフトウェアをインストールした(もしくはエラーの海から自然発生した)とか。とすると、世界各地に残る人類創造の神話はそうした事実の痕跡であり、神話や伝承のなかに、ヒトの上で動作するソフトをインストールする方法=儀式の秘密が残されているとか。
神々がヒトの’知能化’に用いた方法以外にも、いろいろな式がヒトの中には残されており、それを解析して駆使すること=魔法(シンボリック・テク)、という妄想。

千年魔道の世界でも、ヒトの自意識=魂が唯一無二の存在であるか否かについては解明されておらず(ベルリン王宮のホーフアポテーケではかつて生きたまま脳を二つに増殖分離する実験をおこなった)、これをシンボルと呼び、魔法を’魂の技術’すなわちシンボリック・テクと呼称している。

ところで、レプリカントとか調べながら気が付いたのだけれど、ブレードランナーって2019年っていう設定なのね。遥かな未来だとばかり思ってたのだけれど、もうすぐ。今度ロサンゼルスに行く機会があればブラッドベリ・ビルにでも行ってみようかな。続編の話もあるけれど向こうで見た「高い城の男」の映像は素晴らしかった。日本でも早く見たい。

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By http://www.flickr.com/photos/mister-e/ Mister-EFlickr, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1209311

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