The Stars Are Right!
星辰、星宿、宿曜…。辰は日月星を指し示すため、恒星を示すstarに当てはまるのかどうかはさておき、古代より人々は観測可能な天体を神秘的な、霊的な力を持つものとし尊び崇めてきた。これら星…天体の位置が作用する霊的な干渉の力によって、はるかな昔、この地上に顕現した神とその住処を海洋到達不能極、ポイント・ネモの深淵に沈めていると。
そして、その場所が今では、人のつくりし天体-人工衛星-が地球上で最も降り注ぐ場所、というのも皮肉な話だ。
星は古来より魔法の歴史においても重要視されていた。
正確かつきわめて複雑に運行するそれは人が関与することができない領域であると同時に、人の世で起こりうるありとあらゆることを定めるいわば世界のしくみのようにも見える。
それはこの次元における巨大な時計であり、それらが指し示す刻(その瞬間の星々の位置関係)と人々の世界とに「シンクロニティ」を感じても不思議ではない。
古代バビロニアの昔から、夜空を廻転する無限の星々の運行を観測しそれらをグルーピング(デカン、星座、星宮)し意味付けそれらの位置関係や動き(崇める神に火を象徴する星が差し掛かる、など)から兆しを読み取ったり、
星々の運行をシミュレートする装置によってある人物が生まれたときの星辰の位置を割り出し吉凶占う、といった運命論に飲み込まれてしまうほどに、星々の世界はこの世界を象徴している存在なのだ。
ホロスコープ、アストロラーベ、アーミラリ天球儀、アンティキティラ島の機械・・・秘儀に通じ知啓を得た賢者たちは注意深く隠されてきた真の意味をもつ日月星々の星位を時空を指定して、あるいは星位を指定して時空を知ることのできる星辰儀を持っていた、星辰の正しき刻を知るために・・・という妄想。
魔法使いの所持する星辰儀は星霊に感応する魔法式で構築、魔力によって駆動するもの。遺構から発掘されたかつて星辰儀だった遺物に魔力を流すことで周囲の元素を吸収し復元をはじめる。一般的に魔法的アイテムにはその部品一つ一つにアイテムそのものの情報が刻み込まれておりこれを再構築することが可能だ。そして魔力を流し込む主の呪文に呼応する。「そなたの主が命ずる。告げよ星辰正しき刻!」
ちなみに欧州の古い銅版画などで帽子をかぶっている占星学者が描かれていますが、このかぶっている帽子は星々の影響による磁気の気流から頭を保護するためだ、なんていわれています。
魔法使いのとんがり帽子もそんな起源からきているのかもしれませんね。
話は変わって変わって。
先月休暇をいただいてドイツはミュンヘンに行ってきました。スペイン出張で休暇がずれ込んだこともあり、あまり計画しない中でのドイツ旅行でしたが、ロンドンやバルセロナ、ロサンゼルスやアムステルダムなどと比べても一等治安が良く過ごしやすい街ですねミュンヘンは。夜半中央駅周辺では怪しげな人たちも見受けられましたが、ヤクの売人や夜の住人に声をかけられることもなく平和に過ごせました。丁度クリスマスマーケットが始まる直前ということでもあり安上がりだったのも〇。
中世の町としてのミュンヘンは1100年ごろからといわれていますが、中世からの歴史的な町はその雰囲気を残したまま、いまも息づいていると感じます。観光の中心部、城壁の内側は歩いてみて回れるほどにコンパクトに集中しており、ゴチック建築の美しい聖母教会や市庁舎、マリエン広場など雰囲気も残しつつも、通りにはため息が出るほどの美しいショーウィンドウが並び、ただひたすらにお洒落な街並みでした。
ただ先の大戦の傷跡も大きかったらしく、どこに行っても復元されたもの、という注釈が目に付く。修道士のビール、黒死病の流行やヒトラーの旗揚げ、戦後は精密機械など改めて欧州の歴史の重みを全身に感じることができた。始まったクリスマスマーケットでは美味しいものや楽しい人々との出会い、いまの日本ではなかなか感じることができない活気に触れられる。
アルプスにも近い、ということでドイツの最高峰ツークシュピッツェにも足を延ばします。山岳鉄道とロープウェイで山頂まで。山頂はオーストリアとの国境なのですが、そのうちオーストリアやスイスにも行きたいな、と思いました。ニュルンベルグやネルトリンガーも近くて想像でしかなかった世界に今いる感動というのがすごかった。
あちこち回っていろんな出来事や出会いもあり、そういうのもひっくるめてミュンヘンは初めて海外に旅行に行かれる方にもお勧めできる場所だなぁって思います。
2018年も残りわずかですが、やりたいこといっぱいありすぎて困ってしまいますね。