ペルシダー時代 – Pellucidar age –

E・R・バローズといえば火星シリーズなのだろうが、私の初バローズは少年少女世界SF文学全集の『地底世界ペルシダー』であり、”あの懐かしい世界”という言葉にはこの地底世界を思い出さずにはいられない。
というか読んだのが昔過ぎて思い出補正Maxだったりするも、記憶を頼りにあらすじを書いてみる。

鉱山技師イネスがベテラン技術者ペリーの発明した鉄モグラに乗り込み地底に潜るも、掘削状態で舵を切ることができない致命的な欠陥が発覚し、そのまま地底を掘り進む。
地底世界ペルシダー
地熱の上昇とともに死を覚悟する二人だったが、やがて熱は下がりさらに地底を掘り進むうちに大きな空間を掘り当てる。一瞬地上に出られたのかと喜ぶ二人の前に、太陽のない見知らぬ世界が広がっていた。地底世界にも人間はいたが、世界を支配していたのは爬虫類から進化したマハール族というトカゲ人、石器時代レベルの人間はその奴隷兼食料に過ぎない。イネスの豪胆さ、ペリーの知力を発揮し超能力を持つマハール族と対峙し奴隷たちを解放してゆく。戦乱の中での美姫との出会い、ロマンス。そしてマハール族の古代魔法の奸計を前に囚われの美姫絶対絶命のピンチ!だがしかし、鉄モグラに乗り込んだイネスは巨大なドリルによってマハール族を退ける…。

少年少女世界SF文学全集版は野田昌宏が全編訳ということで若干の改編もあったりするようだが大体こんな感じだったか…(はっ!全然違う)。

…というわけで以下妄想。

時は未来、ところは宇宙、光すら歪む果てしなき宇宙へ…

昼夜休日を問わずわずかな報酬で日本のモノづくりを縁の下で支える中小企業。ニッチすぎるが匠の技として世界中からレアな注文を受けることもある。中には用途不明な謎のパーツの受注もあったりする。
そのベテランだが平凡なエンジニアであった男はある日、工作場で組み立てた用途不明な試作機の稼働試験中に突如発生した爆発に巻き込まれてしまう。死を覚悟したその刹那、男の体は虚空に消える。そして赤い砂漠に放り出されていた。

火星の大魔女

火星の古代遺跡。その最深部にある秘祭殿より盗み出した秘宝の力を借り、タンホイザーの追撃から逃れながら女は残された力を振り絞って異世界とのゲートを開いた。
遺跡に描かれし魔法円より出現する一人の男。呼び出した女は男の姿を見て感涙を流す。時間がない。状況がつかめずよろめき立つ男に、箱状の機器を手渡す。そこに現れるタンホイザー。「逃がさんぞ!悪党ども

赤い砂漠で上空からジステンバー号の追撃を受ける。妖精駆動推進がうなる。追い詰められたとき男の手にした箱状の物体が光輝き、それに呼応するかのように虚空から一瞬巨大な艦が出現しその強力な砲がジステンバー号を蹴散らす。すざまじい衝撃と砂嵐に巻き込まれ皆、散り散りになってしまう。

パラレルワールドというかもうひとつの世界。そこでは太陽系の惑星は一部を除き人類が居住可能な世界であり、惑星間宇宙船の発達により火星人や金星人と地球人が接触して久しい。

彼を呼出した女は自らを”火星の大魔女“と呼び男の帰還を待ちわびていた、と告げる。女の話によると男はこの世界でレッドノアと称する太陽系支配をもくろむ悪の一団の指導者であったらしい。レッドノアの野望を阻止せんとする<秩序>の陣営との戦争によって彼の魂は封印され別次元の宇宙へと放逐されていたと聞かされる。身に覚えのない話に混乱を極める男に<秩序>の尖兵が迫る。赤の砂漠を逃げ惑う二人は火星古代王朝の遺跡についに追い詰められた。彼の前に太陽系政府を代表すると自称するタンホイザーが立ちはだかる。「悪党ども!今度こそ年貢の納め時だ」熱線銃を構えるキャプテン タンホイザー。しかしそのとき一同の頭上に巨大な黒い船が出現する。レッドノア悪の象徴 幻影号だった。

「逃がさんぞ!悪党ども」執拗に追いすがるタンホイザーの小型だが太陽系一の高機動性をほこるジステンバー号の追撃を受け”火星の大魔女”ジュリアネスとはぐれてしまう。

赤い砂漠の中、所持品は魔女から渡された箱状の物体と異文字の記された巻物だけだった。

火星の魔術師

その後、男は運よく砂漠を旅する商人の一団と遭遇し街まで同行することに。

火星は人類発祥の地として古代太陽系に文明の栄えた星であり、その特徴的な文化形態により特に先史魔法文明とよばれ、太陽系全土に広がる文明として栄えたがその栄華は今はなく、魔法文明が築き上げた叡智は火星古代王朝の末裔に一部を残して、そのことごとくが失われていた(先史魔法文明の遺構は今も地球をはじめ、太陽系全域に散見することが出来る)。現在の火星の地は人類と亜人類と赤い砂漠との版図に塗り分けられており、ちょうど中世のヨーロッパと中東をミックスしたような世界を形成している(剣と魔法)。火星人はその赤銅色の肌より”暁の民“とよばれた。
一方地球は、20世紀における科学技術文明の急速な発達により、地球圏を越えて広く太陽系全土にその版図を拡大しつつあった。太陽系に点在する人類文明との交易と未開の地への冒険を求め、造船と惑星間貿易益による好景気および、科学技術と古代魔法文明のシナジーによる進歩と発展の活気熱気とに満ち満ち、いまだかつてない繁栄を迎えつつあった。

男が身を寄せていた商人団はしかし、赤の砂漠を旅する道中で、褐色の少女が率いる飛甲冑人形を従えた奇妙な一行と遭遇し壊滅、男はその奇妙ないでたちより捕らわれの身となる。
その後、超巨大な砂漠砂虫に一行が襲われ全滅しかけたとき、男の持つ箱状の物体が再び光を発する。「そいつはアトラクタマシンじゃないか!あたしも見るのは初めてだよ!」興奮気味な少女。虚空から現れた漆黒の巨大ゴーレムが怪物をうち斃す。

箱状の物体はアトラクタマシンというこの世界での万能工作機械であることが判明する。男はそのアトラクタマシンを自在に操る才能があるらしい。工具も何もなく破損した飛甲冑人形を修復する様を見た一行は、その昔、アトラクタマシンを自在に操り精霊艦で星海を支配した”火星の魔術師“と呼ばれた男の話を思い出していた。

褐色の少女と一行は亡国の残党である身の上を明かし意気投合、パーティを襲ういくつかの危機を乗り越え一行は男の持つ異文字の文書に記された場所に向けて旅することになる。その座標は幻といわれる火星の地下密林への入り口だった。

 

妄想は続く。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください