大人ガーリー
バイユー(byU)。ブランドコンセプトは「大人の為の可愛い服」とか。フリルやリボンをあしらいつつちょっとだけフォーマルっぽいラインで爽憐なイメージが好きかも。大人ガーリーっていうスタイルもいいよね。
女の子はこういうかわいい服を着るという選択肢があってずるい。衣装のデザイン次第ではボディラインをうまく隠して大胆にシルエットを変えることもできる。フリルとかわしゃわしゃした部分は見る人が理想的なラインに補完してくれるとかそういう効果があるのかもしれません。
ところでガーリーもロリータも『少女的な』という点では同じものを指しているのでは、と思ったりしません?両者には曖昧ながらも外見的な違いがあるのです。ロリータはスカートを膨らませる(基本的にはバニエはいてる)シルエットに対してガーリーはふりふりではなく少女らしい元気なイメージのラインが基本。あとは肌の露出が控えめかそうでないかの違いが。蓮葉って言葉があるけれど少女の蓮葉な要素多めなのがガーリー、お上品なのがロリータって考えるとなんとなくしっくりくるかも。かろうじてカジュアルなガーリーとそことん尖がっているロリータ(ゴスロリってよく装甲になぞらえたり)。
ま、どっちも好きですが何か。
話は変わって変わって。
碁や将棋で名人並みの領域に達しつつある人工知能、この調子で進歩してゆけばコグニティブコンピューティングを可能とする人工知能、そして自我を持つ人工生命の誕生もそう遠くない未来に実現しそうである。それは自分という概念を理解した瞬間に訪れるだろう。そして人工知能は人類を様々な分野の課題から解放してゆくに違いない。(人工知能が反乱し人類が滅亡するという世界線は次に人類が目指すイノベーション”運命の制御”によって防がれる、としておく)
そして、これはそんな人工知能が世界に浸透したそう遠くない未来のお話である。
「で、先生。どうなんでしょう私は」
「自我意識に関する障害だな」
患者と医師らしき会話が続くがその部屋には一人の男が端末に向かって話しかけているだけだ。端末の向こうから話しかけているのは今や人類のほとんどすべてのライフラインを制御してくれている人工知能の一つだった。人間社会と人工知能が共存するようになってすでに半世紀が過ぎ、世界はその恩恵により飛躍的な精神的発展を遂げていた。しかし、そうした自然と現実の世界の歪は意外な形で現れた。そう、それは人工知能の心の病として。
「時々自分の思考が自分のものであると認識できず、それが頭の中で誰かが話しかけていると認識されちまう。いつの時代になっても『自分』っていう高度な機能は制御がむつかしいものさ」
そう話しかけながら端末の向こうに視覚化された人工海馬の構造解析を始める。人間のそれとは違い単一で人間の数万倍の情報を制御する人工知能のもつ知識や知能は複雑多層のニューラルネットワークで構築される。この手の経験のリバーブを遮断しまずは思考回路を整理しなければならない。…ひとつづつ、丁寧に。
治療を初めて数日、ようやくブレインマップが組みあがり随意運動への影響を抑制しながら思考の流れを視覚情報として解析できる環境が整った。そして男は人工知能の認識にかかわるネットワークにシステムに負荷をかけているちょっとした規模の古い情報群体を発見した。正体不明だがこの人工知能の初期の記憶を核として形成されたトラウマのようなものであると思える。それは精神活動の一部に組み込まれながらも情報を維持し続け何らかの処理を続けていた。どうやらこれが原因のようだ。
男はさっそく術式に取り掛かった。パージするニューラルネットワークをそっくり複製し量子を流す。スピンロックをかけてバイパス。取り出した古い情報群体を自宅のストレージに抽出する。…どうやら手術は成功。
男が一息ついたところで、背後の塩基対分子積算式プリンタが突如稼働を始めた。止めようにも制御が効かない。仕事場のシステムを調べると先ほど抽出した情報ファイルが勝手に自己解凍を始めていた。なんなんだこいつは!?実体化するのか?
そのまま仕事場で眠りこけていた男は、数時間後、プリンタから出力されたものを見て呆然としていた。
そこには全裸の少女が出力されていた。