Little Wizard

トウモロコシ畑を縦走する田舎道でパンクを直そうとした時に、突如上空から現われた黒い影、Unmanned Aerial Vehicle。修理もそっちのけで車をトウモロコシ畑に突っ込みながら制御装置をハッキングし、ついには小さな湾で無人航空機を捕獲する場面はSFでも屈指の名シーンではないだろうか。

練習b219a2いわずと知れた『インターステラー』冒頭のシーンである。緩やかな滅亡の危機を迎えた人類文明は徐々にそのテクノロージーレベルを落としているというシチュエーションだが、このUAV(インド軍の?)は数年にもわたって空の上を飛翔し続けている。長時間滞空に分類されるIAIのヘロンでも50時間弱なのだから年単位ともなると途方もない。劇中での高性能な太陽電池パネルなどのセリフからはバッテリー駆動と想定できるが超長時間航行能力などよりプロペラなどの開放型駆動機構を持つとは考えにくく超電導と電気推進および滑空制御を組み合わせたものなのだろうという妄想。この時代の空にはこうした無人機が無数に飛翔したりしているのだろう。

年単位で飛翔可能な電子機械ということで高高度で運用すると人工衛星よりも比較的安価な通信システムや測位システムなどによるサービスの展開が可能になりそう・・・ということで、こりゃ宇宙開発も寂れるわけですねー
しっかし、宇宙に居住可能な惑星を求めるためにはテラフォーミング技術(惑星改造、勿論生態系のチューニングも含まれる)も必要なわけで、こうした技術は地球の異常気象や植物の疫病対策にも活かされたりはしないのだろうか・・・いやしない訳もない(反語)。

そんな野暮はさておき、通信システムといえば、改めてインターネットってすごいなって思う。JUNETに接続してたころはニュースリーダーなんかでコアな情報に浴して悦に入っていたのに、今では会議中にタブレットからヨーロッパの開発者にチャットつないでやってるプレゼンのデータの裏取ったりとか、たかだか10数年でどんだけ情報化されてるんだか。ちかごろ安全保障貿易管理に関る技術を扱ったりしている関係で輸出管理に携わっているのだけれど海外複数拠点でグローバル開発、クラウドやVPNが入り乱れて、この情報は物理的にはどの地域に存在しているのだろう、なんて気をつけないとチョー概念的な世界になっちゃってるよね。
戦後間もない頃ブラジルで日本の特務機関と称する集団が現れて「日本の敗戦は米国のデマだ」と喧伝し帰国運動を盛り上げそれにかこつけて財産を巻き上げるという大事件を思い出す。今の時代の人たちにはネットや電話などいくつかの情報ソースを持ちクロスチェックすることも可能だ。後の帝銀事件もそうだが、情報が貧困だった時代には謎と近代的怪奇に満ちた怪事件もまた多い。未来感を伴って現われるこういう連中が悪意を纏ってさえいなければわくわくわくするところ、なんだけどなぁ。

というわけで千年魔道の世界における魔法使いの妄想なのだけれど、魔法の概念はこの”あらゆるものがネットワークで接続されている世界-究極のIoT”に近い。彼女らがチャンネルやパスと呼ぶ想念はデータリンク層やセッションに近いもの。さながら呪文はあらかじめプログラムしておいたコマンドとでも言うべきアプリケーションだ。精霊や古代神といった存在はネットワーク型のアプリケーションAI、一体誰がプログラムしたのやら、だ。勿論コンピュータとは違って全ての情報は実体そのものであり”固有子”とでもいうべき属性(ユニークな振る舞い:今のコンピュータネットワークには存在しない強力なセキュリティを実現可能な要素だ)を備える点で大きく異なる。実際に歴史に応じてさまざまなプロトコルが存在しているし、創造主に関する議論も絶えないが、魔法を覚え行使するものたちと、魔法そのものを新しく書き開発できるものたちという階層がある(ユーザとエンジニアだね)。
前者はスクリプトキディ、後者はウィザードと呼ばれ一般的に前者は蔑称として用いられることもあるが中には数多くの魔法を覚えそれを強力に自在に使いこなすことだけに長け大成したものたちもいる。リィルミガンに現われた二人の少女は超絶技巧のスクリプトキディと超天才ウィザードのペアであった、という説もある、という妄想。

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