HighCastle
ザ・シャード。
破片という意味を持つこの超高層ビルは互いに接触しない八つの面を成す低鉄硝子によって構築されておりさながらゴシック教会の尖塔のようだ。今のところEUで最も高いビルとされる。
フィリップ・K・ディックの『高い城の男』においてはイギリスはフランスと共に第三帝国の直轄領となっておりこんな風にユニオンジャックがたなびくこともないのだろうが、それでも国旗の中央にハーケンクロイツは刺激的なビジュアルと思う。
11月にこの『高い城の男』がドラマ化され映像化されるということで(ロサンゼルスでは街角に巨大な看板が建っていたり)楽しみにしていた。YouTubeなどで見かけるビジュアルはブレードランナーを彷彿させるセンセーショナルなものだった。・・・がしかし、このドラマはアマゾン・インスタント・ビデオでしか視聴できないものだった。思えば向こうに個人用PCも持ち込んでいたのでそのまま契約してしまえばよかった。ついでにいうとAppleSIMも買ってくればよかった(何度Apple Storeの前を通ったことか)。
ディックの小説は幾つか読んではいるのだけれど『高い城の男』は未読だったりする。あらすじを見る限りで、なのだが第二次世界大戦でドイツと日本が戦勝し両国陣営が二分する世界を舞台としており、仮想戦記ものでは割とよくある設定なのだが、作中に登場するフィクションとして戦争にドイツと日本が敗北するというメタフィクションが登場する、という構造を展開するらしい。詳細はわからないけれど、これは想像力を刺激させられる。
千年魔道の世界はおおむね現在と変わらないものだが、そこにたった一つだけ我々の世界と歴史上の違いを持っている。それは紀元1世紀にナザレに神の子・救世主が現われなかった、という事実。従って我々が今日聖書と呼ぶ教会の聖典にもナザレのメシアの物語は存在しない。教会という強大な勢力とは別に魔法という勢力が存在し拮抗する世界。その世界で『閉じた書(クローズドブック)』と呼ばれる謎の書が存在し、そこでは二千年前に地上に神の子が降誕した後の世界が描かれているといわれている・・・。
『高い城の男』がどういう展開を迎えるのかはドラマを見るまでの楽しみ、ということにしておこう。
さて、気が付くと年末なのだが一向に年末という気分にならない。『高い城の男』が見れず悔しいので『アイアンスカイ』のBDを買ってしまった。他にも『インターステラ』『ブレインストーム』『シャーロック・ホームズ』『遊星からの物体X』・・・などなどを積んでしまったので年末年始は映画三昧ということになりそう。思えば今年は久しぶりに映画もたくさん観たなあ・・・。