兵器擬人化『カスピ海の怪物』
以前描いた兵器擬人化をいくつか再整備してみた。
改めて描いてみると兵器擬人化というジャンルも一周回って(何周か回ってるかもしれませんが・・・)新鮮な気持ち。
実機の資料写真を眺めながらディテールをどうやって盛り込んでいくかを考えてゆくのが無性に楽しかったりします。
4000日以上も前に描いた絵の再整備ということで、改めて立体の歪みとかに頭を抱えたりもしますが、それだけ絵を見る能力が成長したのだとポジティブにポジティブに・・・。
ルン級エクラノプラン”地面効果翼機”
翼形状のものが地面付近を移動するときに、翼と地面の間の空気流の変化の影響を受ける、一例として翼の揚力が大きくなる。この現象を地面効果と呼ぶ。
この原理を利用し実用化(?)に至った数少ない例が旧ソヴィエト体制下で開発されたエクラノプランである。
カスピ海や黒海での作成を想定し時速500キロで海面を航行する。そう、これは航空機ではなく、めっちゃ早い艦船なのである。
造船所で製造され、船舶用の材質で作られているため航空機の見た目よりも結構重量があるらしい。平らな大地が広がるなら地上を移動することも原理的には可能なはずで、ボトムズ野郎好きな陸上戦艦とも呼べるものかもしれない。
搭載される武装は対艦ミサイル(レーダー誘導のモスキートが搭載)ということで、電撃的な対艦戦闘が想定されていたのかも。
その運用コストや効果が過大視され、推していたお偉いさんの失脚とともに計画も中止となる。
ソヴィエト崩壊ののちは永らくカスピ海沿岸に放置され、ピクチャレスクな冷戦遺物と化していたが、近年デルベントに建設が予定されている軍事版テーマパーク”パトリオット・パーク”の目玉アトラクションとして展示されるらしいとのことで話題に上っていた。完成したのかな?
”パトリオット・パーク”ってクビンカにもあるみたい。クビンカの戦車博物館近郊に建設とのことで、これも今のロシアの風潮か。
今回の再整備に際して
・エクラノプランは地面効果内におけるピッチングモーメントの急激な変化を低減するための非常に大きな水平尾翼が特徴であり、チャームポイントとし描きなおしました。
・脚部のフローティングが艦船ぽくなかったため、こちらも描き直し。水面を意識したベースに配置してみました。
航空機、じゃなくて艦船擬人化ですね!
いつの間にか、タコムよりキット化されてました。コアなファン多いのか・・・まぁ好きですけど!何か!
タコムって昔は聞いたことなかったけど、2013年ぐらいから活動している比較的新興の香港スケールモデルメーカーらしい。ポジション的にはグローバルなアオシマといった感じ。
Su-27″フランカー”
ロシア語ではСу-27(スー・ドヴァーッツァチ・スィェーミ)。アーリャ(CV:上坂すみれ)さんで読もう!
旧ソ連体制下でスホーイ設計局(今は公共株式会社スホーイ・カンパニー。時代も変わりました)にて開発された戦闘機。パリ航空ショーでヴィクトル・プガチョフ氏がやって見せたコブラの空戦機動により、高い空中機動性能を持つ戦闘機、という印象を西欧諸外国に与えた。
初期のコンセプトとしては、敵戦闘機と機動戦闘が行える超音速機、であり、ベトナム戦以後の「空戦マッハの戦い」を想定するものだった。残念ながら「空戦マッハの戦い(HJ)」にはSu-27は含まれず。80年代当時、東側情報は分厚いベールに包まれていたのです。
蘊蓄は割愛するとして、高性能エンジンが高い空中機動性能を実現するのだ、ということはシンプルな理屈と思う。推力偏向ノズルこそ搭載されていないが、高機動中のエンジンストールを防ぐための工夫が随所に盛り込まれている。のちに推力偏向ノズルを組み込んだスーパーフランカーも開発され、戦闘妖精・雪風<無印>を彷彿とさせた。
ウクライナ空軍で運用されるのはザポリージャ航空機修理工場で近代化改修したもので、レーダーと電子戦兵装強化が行われているが、他国での改修で行われているマルチロールファイターへの進化には至っていない。90年代には空自での導入伝説なども流れ、仮想戦記扱いで空自仕様のSu-27の模型なども偶に見受けられる。
ちなみに、鶴を意味するジュラーヴリという名称を持つという話もある(以前に私もそう書いちゃった)がこの話の信憑性は低い。スーシュカ(Сушка)という愛称で呼ばれていたらしい。お菓子かよ。
今回の再整備に際して
・立ち絵から仰向けで航行中という体に見直し。歩行用の脚部カバーを外してエンジンを強調してみた。
・進行方向に応じて手にしたR-27(ロシア語:Р-27エール・ドヴァーッツァチ・スィェーミ)の向きを逆に。アラモという名前のほうが馴染み。
・ブルー系統のデジタル迷彩風にリペイント。
ミコヤンにしてもですが旧ソ連の兵器同志が相まみえるという図式はなんともかんとも。
T-4戦技研究仕様機
T-4そのものは空自の中等練習機で、80年代に国を挙げて開発された二機種目の純国産ジェット練習機です。
主翼にスーパークリティカル翼型を採用することで幅広い速度帯で良好な飛行特性を発揮、機体の形状も空力的な追及により全体に丸みを帯びていることも特徴です。その姿からドルフィンなどと呼ばれてます。
さて、アクロバット(エアロバティック/曲技飛行)チームといえば、本家USAでは、海軍のブルーエンジェルス、空軍のサンダーバースなどが有名ですが、サンダーバースに影響を受けて戦後まもなく空自でも、華麗なアクロバット飛行(展示飛行と呼ぶ)を披露する専門のチーム、ブルーインパルスが誕生しました。その存在意義などをここで語っても詮無きことではありますが、要はかっこいい(=見るものに元気を与える)ということです。
浜松基地隊内のF-86「空中機動研究班」、松島基地隊内のT-2「戦技研究班」を経て、曲技専用の飛行隊として松島基地T-4「第11飛行隊」が現在のブルーインパルス(三代目)になります。それまでは選抜パイロットというか片手間でやってたわけですが、90年代の流れに上手くノって専門の飛行隊になりました。
ブルーインパルスのT-4は戦技研究仕様機と呼ばれてますが、機体構造やエンジンは量産機と同じで、曲技に必要な装置・計器が追加実装されている程度の違いです。
戦技研究、訓練機なので武装はありません。兵器擬人化じゃなくて航空機擬人化ですね。
制服はアルミニウム合金(一部チタン合金)、部分的に繊維強化プラスチックで軽量化。鮮やかなカラーリングとエアブレーキがチャームポイントです。
イベントで幾度か展示飛行を見たり、松島で練習中の第11飛行隊を見ましたが、いずれもこのT-4でした。流石にF-86やT-2は映像でのみ拝見になります。記憶にない状態で見たことあるかもですが(笑)